公開日: |更新日:
3D CADの分類方法はいくつかありますが、作業工程の内容によって大きくフィーチャーベースモデリングとダイレクトモデリングで分類できます。
それぞれの特徴や違いについてまとめています。
フィーチャーベースモデリングとは、ある程度用意されているパーツを組み合わせたり加工し、製図していくものです。一から自らで作るのではなく、用意されているパーツを弄るのでマウス操作だけである程度の設計図の作成が可能です。
フィーチャーベースモデリングの「フィーチャー」とは、3D CAD上の作業で基本となる単位形状を意味しています。フィーチャーベースモデリングでは、あらかじめ設定されているフィーチャーを組み合わせることで、イメージに合わせた3Dモデリングを構築していきます。
そのため一からモデリングができない人でも、スムーズに統一性を保ったモデリングを行えることが特徴です。
すでに用意されているフィーチャーだけでは十分なモデリングが行えない場合、新しくフィーチャーを設定することで、モデリングの幅を広げることができます。また、作成したフィーチャーはライブラリへ保存しておけるため、作業内容を共有したり、次回以降は作成の手間がなくなることも重要です。
フィーチャーを積み重ねていった履歴をヒストリーと呼びます。途中のヒストリーを変更したり削除したりすることで、即座にモデル形状へ反映することができ、柔軟なカスタマイズが可能です。
メリットとしては簡単な操作である程度の製図が可能な点です。あくまでも「組み合わせ」「加工」がメインとなりますのでCADを深く使いこなせない人、設計のアイディアが浮かばない人でも、ある程度のクオリティの設計図を作り上げることが可能です。
デメリットとしてはあくまでも組み合わせ等による設計となりますので、できることが限られてしまう点です。デザイン力が高く、一からデザインをと考えている人にとっては、「これじゃない」「微妙にイメージしているものと異なる」と感じてしまうことでしょう。
ここではフィーチャーベースモデリングの3D CADの一部をご紹介いたします。
CATIA V5(ダッソー・システムズ社)>>
NX(シーメンスPLMソフトウェア社)>>
Creo(PTC社)>>
Inventor(オートデスク社)>>
Solid Edge(シーメンスPLMソフトウェア社)>>
TOPsolid(Missler Software社)>>
Fusion360(オートデスク社)>>
※詳細は、各製品の紹介ページをご確認ください。
ダイレクトモデリングとは、何もないところから文字通り、「ダイレクトに」設計図を作り上げるものです。
ある程度パーツが用意されており、組み合わせるだけでそれなりの製図が可能なフィーチャーベースモデリングに対し、あくまでも自らの手による設計がダイレクトモデリングになります。そのため、既存のパーツではなく、オリジナルの設計をと考えている人は、ダイレクトモデリングの方が良いでしょう。
ダイレクトモデリングの特徴は、既存のフィーチャーや他人が用意したフィーチャーなどを使わず、設計者が自分のイメージに合わせた設計を作成できることです。フィーチャーベースモデリングでは設計形状の自由度がシステムなどによって制限されてしまいますが、このダイレクトモデリングでは設計者のスキルとアイデア次第で、自由度が非常に高いモデリングを行うことができます。
フィーチャーベースモデリングの場合、作業履歴の順番によっては変更が行えない部分も生じますが、ダイレクトモデリングでは任意の部位へアプローチして、変更をそのまま反映させることが可能。ただし、部品の動作や機能に問題が生じないよう、変更する内容を慎重に検討したり、変更後に十分な解析を行ったりしなければなりません。
ダイレクトモデリングでは画一的な設計でなく、あくまでも設計者の感性や設計意図に従った作業を進められます。そのため、どのような設計意図を持ってモデリングを行ってきたのか、フィーチャーベースモデリングよりも明確に他の設計者やクライアントへ伝えられることが魅力です。
ダイレクトモデリングは何もないところから自分の想像力で設計を進めることになります。そのため、アイディアが沸いていない場合、何もできません。また、パソコンに直接書き込んでいくので、少なくともペンタブレットが必要です。フィーチャーベースモデリングの場合、マウスだけでもそれなりの製図が可能ですが、ダイレクトモデリングはマウスだけでは操作が難しいでしょう。
しかし、自分自身のオリジナリティを出せるという点ではフィーチャーベースモデリングよりも優れている点です。
ここではダイレクトモデリングの3D CAD一覧の一部をご紹介いたします。
図脳CAD3D V2(株式会社フォトロン)>>
iCAD SX(富士通株式会社)>>
IRONCAD(IronCAD, LLC.)>>
※詳細は、各製品のページをご確認ください。
中小製造業であれば、対応する拡張子が合計20以上、価格は40~120万円程度、そして3Dモデリングならではのパラメトリックモデリング(パラメーター入力による設計)機能を有しつつも、マウスやペンタブで直観的な操作が可能なソフトウェアが狙い目です。
ここで紹介する3つの3D CADは、すべてその条件を満たしているおすすめのソフトウェアです。それぞれ「互換性の幅広さ」「低価格」「直観的な操作感」の面で突出した強みを持っているので、重要視したいポイントに合わせて選んでみてください。
製品名 |
幅広い拡張子に対応できる
IRONCAD
互換性を重視したいなら |
必要十分の機能をカバーし
Alibre Design
低コストを重視したいなら |
誰でも直観的にデザインできる
ZW3D
操作感を重視したいなら |
---|---|---|---|
主な用途・得意分野 | <自動機設計・設備機械設計 | 機械装置・金型の設計 | 機械装置・医療機器・家電・プラスチック金型の設計 |
対応フォーマット | インポート:26 エクスポート:33 |
インポート:18 エクスポート:11 |
インポート:24 エクスポート:24 |
ライセンス価格 | IRONCAD スタンドアローンライセンス 1,135,970円(税込) |
Alibre Design エキスパートライセンス (メンテナンス込み) 535,000円(税込) |
ZW3D プロフェッショナルライセンス 946,000円(税込) |
操作感の特徴 | マウス操作のモデル作成が簡単で、パラメーターを使った精確な調整と組み合わせ、求める3Dモデリングを実現できます。 ワンクリックでレンダリング環境にデータ転送できる便利さも備えているのも強みの一つです。 |
いつでも変更可能なスケッチ寸法やジオメトリ拘束など、パラメトリックモデリングをサポートする機能が搭載されています。 曲面形状の部品に対しては、マウスを使ったサーフェスモデリングでスピーディーに設計可能です。 |
ミドルレンジ帯でありながら、ソリッドとサーフェスを掛け合わせたハイブリッドモデリングを直観操作で使えるのが最大の強み。 さらにCAE・CAMを組み込んだオールインワン型で、一連の作業をシームレスに実行可能です。 |
各社詳細 |