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フィーチャーベースモデリング/ダイレクトモデリング

3D CADの分類方法はいくつかありますが、作業工程の内容によって大きくフィーチャーベースモデリングとダイレクトモデリングで分類できます。
それぞれの特徴や違いについてまとめています。

フィーチャーベースモデリング

フィーチャーベースモデリングとは、ある程度用意されているパーツを組み合わせたり加工し、製図していくものです。一から自らで作るのではなく、用意されているパーツを弄るのでマウス操作だけである程度の設計図の作成が可能です。

フィーチャーベースモデリングでできること

フィーチャーを活用することで作業効率を削減できる

フィーチャーベースモデリングの「フィーチャー」とは、3D CAD上の作業で基本となる単位形状を意味しています。フィーチャーベースモデリングでは、あらかじめ設定されているフィーチャーを組み合わせることで、イメージに合わせた3Dモデリングを構築していきます。

そのため一からモデリングができない人でも、スムーズに統一性を保ったモデリングを行えることが特徴です。

独自のフィーチャーを設定

すでに用意されているフィーチャーだけでは十分なモデリングが行えない場合、新しくフィーチャーを設定することで、モデリングの幅を広げることができます。また、作成したフィーチャーはライブラリへ保存しておけるため、作業内容を共有したり、次回以降は作成の手間がなくなることも重要です。

作業ヒストリーの入れ替えや削除

フィーチャーを積み重ねていった履歴をヒストリーと呼びます。途中のヒストリーを変更したり削除したりすることで、即座にモデル形状へ反映することができ、柔軟なカスタマイズが可能です。

フィーチャーベースモデリングのメリット・デメリット

メリットとしては簡単な操作である程度の製図が可能な点です。あくまでも「組み合わせ」「加工」がメインとなりますのでCADを深く使いこなせない人、設計のアイディアが浮かばない人でも、ある程度のクオリティの設計図を作り上げることが可能です。
デメリットとしてはあくまでも組み合わせ等による設計となりますので、できることが限られてしまう点です。デザイン力が高く、一からデザインをと考えている人にとっては、「これじゃない」「微妙にイメージしているものと異なる」と感じてしまうことでしょう。

フィーチャーベースモデリングの3D CAD

ダイレクトモデリング

ダイレクトモデリングとは、何もないところから文字通り、「ダイレクトに」設計図を作り上げるものです。
ある程度パーツが用意されており、組み合わせるだけでそれなりの製図が可能なフィーチャーベースモデリングに対し、あくまでも自らの手による設計がダイレクトモデリングになります。そのため、既存のパーツではなく、オリジナルの設計をと考えている人は、ダイレクトモデリングの方が良いでしょう。

ダイレクトモデリングでできること

イメージを直接的に反映したモデリング

ダイレクトモデリングの特徴は、既存のフィーチャーや他人が用意したフィーチャーなどを使わず、設計者が自分のイメージに合わせた設計を作成できることです。フィーチャーベースモデリングでは設計形状の自由度がシステムなどによって制限されてしまいますが、このダイレクトモデリングでは設計者のスキルとアイデア次第で、自由度が非常に高いモデリングを行うことができます。

履歴による制限を受けない設計

フィーチャーベースモデリングの場合、作業履歴の順番によっては変更が行えない部分も生じますが、ダイレクトモデリングでは任意の部位へアプローチして、変更をそのまま反映させることが可能。ただし、部品の動作や機能に問題が生じないよう、変更する内容を慎重に検討したり、変更後に十分な解析を行ったりしなければなりません。

設計意図を保存して共有できる

ダイレクトモデリングでは画一的な設計でなく、あくまでも設計者の感性や設計意図に従った作業を進められます。そのため、どのような設計意図を持ってモデリングを行ってきたのか、フィーチャーベースモデリングよりも明確に他の設計者やクライアントへ伝えられることが魅力です。

ダイレクトモデリングのメリット・デメリット

ダイレクトモデリングは何もないところから自分の想像力で設計を進めることになります。そのため、アイディアが沸いていない場合、何もできません。また、パソコンに直接書き込んでいくので、少なくともペンタブレットが必要です。フィーチャーベースモデリングの場合、マウスだけでもそれなりの製図が可能ですが、ダイレクトモデリングはマウスだけでは操作が難しいでしょう。
しかし、自分自身のオリジナリティを出せるという点ではフィーチャーベースモデリングよりも優れている点です。

ダイレクトモデリングの3D CAD

互換性・価格・操作感に優れた
おすすめの3D CADソフトウェア3選

中小製造業であれば、対応する拡張子が合計20以上、価格は40~120万円程度、そして3Dモデリングならではのパラメトリックモデリング(パラメーター入力による設計)機能を有しつつも、マウスやペンタブで直観的な操作が可能なソフトウェアが狙い目です。

ここで紹介する3つの3D CADは、すべてその条件を満たしているおすすめのソフトウェアです。それぞれ「互換性の幅広さ」「低価格」「直観的な操作感」の面で突出した強みを持っているので、重要視したいポイントに合わせて選んでみてください。

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製品名
幅広い拡張子に対応できる
互換性を重視したいなら
IRONCAD
必要十分の機能をカバーし
低コストを重視したいなら
Alibre Design
誰でも直観的にデザインできる
操作感を重視したいなら
ZW3D
主な用途・得意分野自動機設計・設備機械設計 機械装置・金型の設計 機械装置・医療機器・家電・プラスチック金型の設計
対応フォーマット インポート:26
エクスポート:33
インポート:18
エクスポート:11
インポート:24
エクスポート:24
ライセンス価格 IRONCAD
スタンドアローンライセンス
1,135,970円(税込)
Alibre Design
エキスパートライセンス
(メンテナンス込み)
535,000円(税込)
ZW3D
プロフェッショナルライセンス
946,000円(税込)
操作感の特徴 マウス操作のモデル作成が簡単で、パラメーターを使った精確な調整と組み合わせ、求める3Dモデリングを実現できます。
ワンクリックでレンダリング環境にデータ転送できる便利さも備えているのも強みの一つです。
いつでも変更可能なスケッチ寸法やジオメトリ拘束など、パラメトリックモデリングをサポートする機能が搭載されています。
曲面形状の部品に対しては、マウスを使ったサーフェスモデリングでスピーディーに設計可能です。
ミドルレンジ帯でありながら、ソリッドとサーフェスを掛け合わせたハイブリッドモデリングを直観操作で使えるのが最大の強み。
さらにCAE・CAMを組み込んだオールインワン型で、一連の作業をシームレスに実行可能です。
各社詳細
選定条件:
Google検索「3DCAD」の結果から、用途に製造業が含まれている3DCADソフトウェア39種類を抽出。その内、対応するデータ形式が合計20個以上で、パラメトリックモデリング対応とマウスによる直観操作が可能、かつ価格が40万円~120万円程度のミドルレンジ帯のソフトウェア10種に絞り込んだ。
・IRONCADの選定理由:10種の内、もっとも対応データ形式が多い3DCADソフトウェアとして選出。

・Alibre Designの選定理由:10種の内、ライセンスの価格がもっとも安い3DCADソフトウェアとして選出。
・ZW3Dの選定理由:10種の内、ハイブリッドモデリングをマウス等の入力装置を用いた直観操作で使える、唯一のオールインワン型3DCADソフトウェアとして選出。 (調査日:2023年11月3日)
3DCAD比較